DEAR 2nd 〜Life〜




「…本当は純がバカなんだ…」






どういうこと…








「……純ね……





最近倒れて運ばれたの。





身体…壊して───…」






「───!」






倒れたって……




だってライブ……




2日前に朝岡さんステージに立ってたよね……?







「……おとといにライブあったんだけど……





終わってから姿見えないなって思ってたら






ステージ裏の影で倒れてた───…」






「───…っ!」






あの日……?





あたしが聞きに行ったあのライブで?






終わった後に朝岡さんが倒れてた……?







「───…その日…




有り得ないくらいの高熱出てたらしくて……





でもそんなこと隠してステージに立って、笑顔で歌ってた。





あたし達にまで高熱出てることがバレないような完璧な振る舞いで……







───言ってる意味……





……分かる……?」







「─────…」







「……誰かに気付かれたら…





倒れたらそこでライブが中止になるからだよ……






───そしたら彩に……






彩に会えなくなるからだよ──…っ!!!!」














チケット




受け取ってくれる?







無理に




来いとは言わんから












「~~~~~……っ」








「───…純が…



ライブ前に何て言ったか知ってる?」






「……」













“純~。



何でそんな余裕ないの?



落ち着きないなんて純らしくもない”






“んー、だってさ…”






“なに?”










“だって






彩が





来てくれるかもしれんから♪”









「───そう…



嬉しそうに笑ってた…」







「────…ふ…っ…




~~~~っ………」









───…あの日





あなたは確かに歌っていました。






あたしには完璧で、文句の付けようがない歌声に聞こえていました。







だけど実はボロボロで、

あなたは立ってるのも精一杯で





来るか来ないか分からないあたしの為に、必死に振り絞ってくれていた声でした。








それが







あの日の真実でした。

< 288 / 475 >

この作品をシェア

pagetop