DEAR 2nd 〜Life〜





「…夢じゃないよ…」






そう言いながら、本当はね。





あたしも同じこと思ってた。





だってあたしも朝岡さんが目の前にいるなんてまだ信じられないもの…。








「……でも……何で急に…?」






「…マリアが…マリアが教えてくれたの…」






「───…マリアが…?」






「うん……



朝岡さんが高熱出して倒れたって…他にもいっぱい話聞いて……





あたし心配で…




それに謝りたくて─…っ」






「……」






「……許してもらえないかもしれないけど…




本当に……




本当にごめんなさい──っ…」







────ポツポツ…





朝岡さんの黒いシャツに、次々と涙の染みが増えていく。







「───…彩…」






朝岡さんが、流れる涙を拭おうとあたしに手を伸ばした瞬間








─────グラッ!








「───…っ…!」






「朝岡さん!!!!」







─────ズルッ…






朝岡さんは立つのを無理していたのか、そのまま床に崩れ落ちるように倒れこんでしまった。







「朝岡さん──…っ」





「……ごめん……

全力で喜んだら嬉しすぎて力尽きた……」






ははっと力無く笑う朝岡さんはかなりツライに違いない。




それなのに“いつも通り”を演じようと冗談を飛ばしてくれる姿に、余計に涙が溢れた。







「───…ごめんな…

せっかく来てくれたんやから入って…」






「…でも…」






「話したい。俺もずっと彩に謝りたかった……」





「……」






ドアを開き、中に促してくれる朝岡さんにコクリと頷き







────パタン…







あたしは6ヵ月ぶりに朝岡さんの家に上がった。








「……上がってな。

ちょっと散らかってるけど…」





「…ありがとう…」







フラつきながらも笑顔を見せ、リビングに向かって歩く朝岡さんの姿を見つめ






────キュッ…






あたしはまたどうしようもない感情に襲われた。






────“あの日”。






言い合いをして、嘘付いて、傷付けて





あの寂しげな後ろ姿を見送ったあの日と重なったから。






変わってなさすぎて、

それが逆にいたたまれなくて







───…思い出さずには





いられなかった……


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