DEAR 2nd 〜Life〜
久しぶりに上がった朝岡さんの部屋は
散らかってるどころか
“むしろどこが?”って聞き返したくなるくらいキチンと片付いていて。
強いて言えば、ベッド周りにあるお粥や、薬類にペットボトル、無意味に飾られているガンダムくらいじゃないかと思う。
───…そこには
決してここに姿がなくとも、マリアやゴローちゃん、そしていっちゃんの“仲間”の存在が強く強調されていた。
あたしは羽織っていたコートを脱ぎ、そわそわと落ち着かない様子でソファーに腰掛ける。
「───…寒かったやろ。」
────…ふわり…
座った瞬間に目の前で舞う白い湯気。
「ん。どうぞ」
「…えっ…」
いつの間に…?
手渡されたのはほんのり温かいマグカップ。
あたしがモタモタしてる間に淹れてくれたんだろうか。
「ごっ、ごめん…!!
しんどいのにこんな気遣いさせちゃって…っ」
「んな大袈裟な。
茶ー淹れるくらい出来るよ、重病でもないんやし。」
「……」
「冷めんうちに飲み。
せっかく彩が好きなやつ淹れたんやから。」
「……え?」
言われて初めて気付いた。
「…これ……」
────…そう。
マグカップでくるくる輪を描いているのは
「……朝岡さん…」
「うん?」
「───前来た時これないって言ってたじゃん……っ…」
“……ミルクティーは残念ながらないねん。
ごめんな、次来るまでに用意しとくな”
“うん♪
お願いします♪”
「───覚えてて……くれたの…?」
「……当たり前。」
「…っ」
「……なーんてな。
ほんまは……
俺が勝手に待ち続けてただけ──…」
「……」
“純…きっと強がってるだけで…
ずっと待ってるから…
彩のこと───…”
一つ、また一つと。
あたしの心のジグソーパズルが嵌められていく。
───偽りなんかじゃない。
朝岡さんは最初から何も偽ってなんかいなかった。