DEAR 2nd 〜Life〜
「───ありもしねぇ事言って人騙すんじゃねぇよ!!
裏でコソコソしやがって見てて気分悪い!
お前ら人間として最低なんだよ!
───恥知れ!」
────…マリア…
「───今度同じような事しやがったら…
こんなんじゃ済まねぇからな!」
━━━━バシャン!
「──きゃぁぁ!!」
マリアはちょうど中庭にある手洗い場の前で、水が入ったバケツを三人めがけて蹴飛ばし
━━━━━グシャッ!
水浸しの三人の前で、バケツをグチャグチャに踏み潰してしまった。
「───ひっ…」
「いっ行こっ!早く!」
腰を抜かしたように逃げる三人と
────シュボッ…
何事もなかったかのように煙草をくわえ、ライダースジャケットからzippoを取り出し火を付けるマリア。
「………」
ゆ、夢?
あたしは現実って判別が付かなくて、しばらく呆然とその光景を見つめていた。
────…と…
「───ね…ねぇ…あの人何かすごくない…?」
「…うん…何かすごいオーラあるよね…」
「どっかの族?」
────ザワザワ…
一連の揉み合いを見ていた周りがザワつき、マリアに注目が集まり出した。
「────…」
……当の本人はスポットライト浴びてるなんて目もくれず、呑気に煙ふかしてるし!
わぁぁもう!!!
ヤバイって!
ただでさえ何もしてなくても目立つのに!
「───マリア!」
あたしが慌ててマリアに声を掛ければ
「───…あ。彩」
相変わらず急ぐ事もせず、ヒラヒラと手を振ってる暴れ狼。
「───もう~!!!!
あんな事するから超目立ってるじゃん!
何してるのっ!!!!」
「───…何って…
見ての通り、潜入?」
フーッと煙を吐き出し、
何にも動じず笑う彼女にあたしは意気消沈。
……あぁもう。
き、肝座り過ぎだ。
「───…ねぇ。それ純?」
「…え?──…あっ!!」
マリアは“通話中”のディスプレイが表示されているケータイを指差した。