DEAR 2nd 〜Life〜
朝岡さんと電話中だったこと忘れてた…!
マリアは煙草をふかしながらちょいちょいと手を伸ばし
「……ちょっと貸してね」
あたしの手からケータイを取って耳にかざした。
「───もしもし?純?
……うん。
任務完了したわよ。」
ふっと笑みを溢すマリアは、先程とは全く違う種類の穏やかな笑顔を浮かべていて。
「…んー…分かったっつうか…
すぐピンと来た。
彩の鞄ガサッてたから、
“あ、コイツらだな”って。」
────…
鼻の奥がツンとなる。
じゃあさっき見た人影は、やっぱりマリアだったんだね…。
「───…ははっ、
まぁそこは別にいーじゃん。
大学ではあたし達付き合ってる事になってるんだし活用しただけ。
…まぁギリギリラインだぁね、うん。」
けらけらと笑うマリアと、多分怒ってる(?)朝岡さんの会話が何か嬉しかった。
朝岡さんとマリアの二人は…よく分からないけど絶対的な信頼で結ばれている。
口では到底説明しきれない、“強い何か”で二人は固く繋がっているんだと思う。
それは多分ある意味──…
“恋人”以上の枠を超えた特殊な関係なのかもしれない。
……そこにもちろん妬いたりとかはないんだけど。
二人を見ていると、
“男女間の友情”って本当に成り立つんだぁ…って感心してしまうんだ。
「────え?
…あぁうん、分かった。ちょっと待って。」
マリアはケータイを耳から離し、
「───…えーっ…と」
────カチカチ…
指先でボタンをいじくったかと思えば
「───はい。」
「え?」
「───テレビ電話。
みんなが彩の顔見たいって。」
────ポンッ…
そう笑い、あたしの手にケータイを差し出した。
『───アヤヤ~!!
アヤヤどこー!?真っ暗で何も見えなーい!』
『…ってかこれ俺のケータイ!!邪魔!返せ!』
『ぎゃあっ!!暴力反対!!
助けてゴローちゃんっ!』
『…あー…もー…』
「………」
手の平から声が聞こえる。
……あたしが大好きな、
みんなの声が。