DEAR 2nd 〜Life〜



「なぁにん?」




「…んーとねぇ…」




「勝利宣言なら受け付けないよぉ?」





「…もー!!そんなんじゃないってば」





あたしを後ろにぶら下げたまま、ズルズルと歩いていく美月。






「……ねぇー美月ってばぁ」








────ピタリ、と美月は静かに立ち止まり






「───“ありがとう”もいらないよ?」





そう言って、背中に引っ付いたままのあたしに笑いかけた。





その笑顔は何とも言えない優しいオーラを醸し出し、まるで辺りまで温かさで包まれていくような……





───…そんな、彼女特有の煌めきを感じた。








「じゃあ、あのさ?」





「んー?」





「今度からは、また由梨も誘って三人で遊ぼうね!」







…───“彩”として。






“あたし達、ずっと友達だよね?”




……そんな、関係を確認するような言葉を尋ねるあたしはもういない。





言わずとも、“ずっと友達”だと信じているあたしがいるから。






「───もっちろん♪



それまでにはちょっとは恋バナ出来るようになってなさいねー?」





「…が、頑張ります…。」





美月と由梨の挟み撃ちに強くなっとこう、って思った矢先







「───まなちゃぁん!



キャバの世界辞めても、また萌とも遊んでねぇっ?」





ぎゅーっと抱き締めてくるのは、人懐っこくて寂しがりやで甘ったれな萌。






「……萌、ありがとう。」





「うぅ~…まなちゃんがいなくなるなんてやっぱり寂しいよぉ……」






「────“彩”。」







「…ふぇ?」






「───…“彩”っていうの。



“彩り”って書いてあや。



…あたしの本当の名前。」






「───“彩”……」





萌は目を真ん丸にして、違う角度から見るかのようにジッとあたしを見据えた。






「……あたしね、こう見えて学校ではいじめられてるんだぁ…」





「…え…?」






「……みんなから嫌われてる自分に自信なかった。

こんな自分大っ嫌いだった。」








……でもね、そんな時







“ねぇねっ、まなちゃんって呼んでもいーいっ?”








…───初めて、萌が声を掛けてくれたんだよ。




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