DEAR 2nd 〜Life〜
「…」
朝岡さんが向けた背中から視線をずらす。
狂い咲きしてる桜は他の木より遥かに雄大で。
満開の桜よりも、逆に孤立して咲いている桜の方が主張性があって印象に残りやすい気がした。
「───ここは……
朝岡さんにとって寂しい場所?」
そっとあなたの背中に寄り添う。
さっき抱き付きたいと思った衝動とはまた違う。
───…どんな朝岡さんも包み込めたらいいなと思った。
朝岡さんはふっと寂しげに笑って振り返り、あたしの頬にそっと触れた。
「…───どうかな。
でも寂しい場所やったとしても、今は彩がいてくれるから寂しくない。」
────…ヒラヒラと二人の間に舞う桜が神秘的で。
そんな神聖な空間の中、朝岡さんはそっとあたしの手を引いた。
─────…トンッ
木の幹に軽くもたれ掛かった朝岡さんに、手を引かれた衝撃で抱き付く。
─────…ふわっ…
抱き締め返してくれた朝岡さんから香った香水の香りにくらくらと目眩さえ覚える。
「────…でも…」
「ん…?」
「───彩がどっか行ってもうたら……
それこそもうここは寂しい錆びれた場所になるやろな……」
─────ギュッ…
肩越しに聞いたその声は、少し震えていた。
今にも消え入りそうな泡のような。
手を伸ばしても掴めない雲のような……。
「───いよ…」
「…え…?」
「────行かないよ…
あたしどこにも行かない…
朝岡さんを置いていったりしないよ……」
「…彩…」
もう行かないよ。
絶対どこにも行ったりしない。
朝岡さんを置いてきぼりなんかしないから。
だから、そんな悲しい顔しないで。
あなたの中に、あたしが生きる理由を見つけたから。
だから、そう。
「───朝岡…さん…」
「ん?」
「……離れたく…ない──…」
「…え…?」
伝わるかな?
精一杯のあたしの気持ち、受け止めてもらえるかな?
絶望の底から初めて芽生えたこの感情。
「───…今日…
ずっと一緒にいたい…」