DEAR 2nd 〜Life〜
「…───で?
結局は何が言いたいの?」
「だーかーらぁっ!
もうマリアの分からず屋ぁ~!!」
「…何でそうなる」
…───ライブ前日、マリア宅にて。
今日は朝岡さんがバイトで不在=お泊まり不可能っていう残念な事情につき、あたしは現在マリアの家でお泊まり中。
───…で、話のネタはもちろん。
「でね、あのねっ、」
「……あーはいはい。
つまり純はドSだけど優しくてエッチが上手いって事でオケ?」
「やっっっだマリアってばもう!」
━━━━━ドーンッ!
要点をまとめたストレートな内容に、力あまり余ってマリアを突き飛ばす。
「…、殺す気か…」
「だってぇ~…」
「……はいはい。
もう何だかんだ言いながら幸せそうであたしは安心だよ。」
「…えへへ♪」
毛布を被り、ニヤつく口元を隠す。
「…良かったね。」
就寝スタイルに入ったあたしを見て、マリアは部屋の照明を落としながら笑った。
「うん♪あ~♪明日のライブ楽しみだなぁっ♪」
「…あぁそっか、前のライブは音源だけだもんね。」
「うん!!久々に朝岡さんの歌う姿見れるから楽しみ♪」
「…じゃ早く寝なきゃだよ。明日早いんだから。」
「はーい♪」
パチリとベッドのスタンドライトも消え、部屋は暗闇に包まれた。
すぐ横でマリアがベッドに入る物音が聞こえ、数分後。
────…スー…
マリアの寝息が聞こえ、あたしも追い付かなきゃと瞳を閉じる。
でも気分はまるで遠足の前日。
ワクワクとドキドキの抑揚を繰り返し、目は閉じるどころか冴える始末。
「…寝れない…」
……はぁ、と溜め息を付き窓から見える月を眺める。
今でもやっぱり夜は眠れない日が多い。
あの日を思い出しては、
どうしようもなく震える日々が続く。
息が荒くなって、悪夢にうなされる時もある。
…───でも、そんな時。
いつも瞳にあなたを映しては想うの。
今頃、あなたは何をしているかって。
バーで仕事してる?
そんなに夜遅くまで働いて、喉に支障きたさない?
明日はどんな朝岡さんの歌ってる笑顔が見れるかな?
…なんて、ささいな事を想ってみたりする。