DEAR 2nd 〜Life〜



────ゴロンッ…






「……うぁ~…やぁっぱ気持ちい~…」






控え室にジッとしている事が出来なくて、ガラス越しから見える青い芝生の誘惑に負けてゴロゴロ。




木の葉っぱから洩れる光がキラキラで、手を翳しながらも空を見上げる。





何となく空気も美味しい気がして、肺の奥深くまで思いっきり空気を吸い込んだ。







「───生きてるって…

こーいうことかな…」







…───死んでもいいと思ってた。




何もかもに諦めてた。










“マキね、彩の事大好きだよ♪”





“早く死ねばいいのに”






豹変する人間の怖さから、もう誰も信じられなくなった事もあった。




誰にも存在を認めてもらえないのが悔しくて、空気みたいに無視される自分が大嫌いになった。





そんな時見つけた新たな道。







“愛美。

今日から君は愛美だ”





“愛…美…”








“愛美”として刻んでいた時間は今でも輝いたまま──…。




きっと光を纏って羽ばたく蝶のように。




永遠に、消えることはないあたしの人生。









“愛してる”









棘が張り巡る道を越えて、ずっと大好きな人にそう伝えられた時…





……ほんの少し。





あたしは傷だらけの自分を包んであげられる気がした。





“頑張ったね”って。





泣いている過去の自分に、今の自分なら手を差し伸ばして頭を撫でてあげられるだろう。




泣いてばかりいる自分を見てみぬフリなんかせずに、ちゃんと振り返ってあげられるだろう。





突っ走る事が強さだと思っていた。




涙を流す事が弱さだと思っていた。






…───でも、そうじゃなかった。







笑っていようね。




無理に笑わなくていいから。





涙も必要だよ。




泣いていいんだよ。




泣いたらダメなんて誰が決めたルール守ってるの?





無理しなくていいよ、分かってるから。






───今の自分なら。





そんな言葉を掛けて、泣いている自分に手を差しのばせるだろう。






痛みを知ったから優しさを知った。




傷みを知ったから強さを知った。





───…だから…






ここに今のあたしがいる。


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