DEAR 2nd 〜Life〜

「ライブ、調子出そう?」





「おー♪超絶好調♪」





ニコッと笑い、あたしの手を引いてライブ会場まで歩き出す朝岡さんが生き生きしてる。





「あたしライブ中、超叫ぶね♪」





「おーいいね。んじゃライブそっちのけで彩見つけるわ♪」






そんな会話をしながら歩き続け、まもなく会場が見えて二人は入り口で立ち止まった。





「じゃあまた後で…」




「ん。また後でな♪」






ポンポン、といつも通りあたしの頭を撫でて朝岡さんはクルリと背を向けた。






「…───」






何故かその時。





もうこれが最後のような…




直感なのかは分からないけれど、何となくもう二度と会えないような





そんな胸のざわつきを感じた。








「───朝岡さんっ!」





だから朝岡さんに声を掛けて、朝岡さんは足を止めて振り向いて







「───…ん?」





変わらない朝岡さんの笑顔に、一瞬ホッと息を付いてもまだ嫌な予感は振り払えなくて







────…ギュッ…!






あたしは走り出して朝岡さんに飛び付くように抱き付いた。






「……どうしたん?」





朝岡さんはあたしの急な行動に驚いたみたいだ。





「……わ…かんない…

でも何か不安で……



ま…また朝岡さんがいなくならないか怖くなって……」







だって朝岡さんの背中を見る時はいつも“別れ”が待っていたから。






「───彩…」





「…ご、ごめ…なんか変だねあたし…」





泣きそうになるあたしを、朝岡さんは今度こそしっかりと抱き締めた。






「───大丈夫。



絶対いなくなったりせぇへんから。



……俺を信じて。」







朝岡さんが真っ直ぐにあたしを見つめる。






「……」





あたしはその揺るがない瞳にコクリと頷き返し





「…うん…

あ…そうだ朝岡さん…」




「ん?」






「───これ……

受け取って?」






─────カチッ!





あたしは朝岡さんの手首に“ARDER”……





…───そう、あのブレスレットを掛けた。






「これ…」





「あ…ほんとはね、クリスマスに渡したかったプレゼントなの…。



色々あって渡せなかったけど…これ付けてライブ頑張って欲しいなぁって…」





「…彩…」






「いつも一緒、ね。」

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