DEAR 2nd 〜Life〜
「あたしホントにこのボーカルの方が大好きなんです!!すごく優しくて気さくで面白くって♪」
「……」
…何…だろう…。
何か……
心の中で汚い感情が渦巻いてる。
他の女の子に優しいとか面白いだとか言われたくない。
“好き”って言葉はあたしだけが言いたい。
誰にも優しくしないで欲しい。
…イヤだ、こんな独占的強い自分。
束縛なんかしなくても、朝岡さんは信頼出来るはずなのに。
何も心配することなんてないのに…。
体を重ねてから、より強く朝岡さんに近付けた幸せを感じると同時に、どんどん嫌な自分にもなっていく。
気にならなかったはずなのに、やけに耳に残る違和感。
芽生え始めた小さな嫉妬心。
嫌だ、とその女の子から目を逸らした瞬間…
────…フッ…
場内は暗闇のベールに包まれ、その闇に浮かび上がる蛍のような無数のペンライトがステージを仄かに照らす。
「わぁっ始まりますね!!」
女の子はペンライトのスイッチをONにして、再びステージに目を向けた。
…──…♪…
真っ黒な闇の中を、演奏がさざ波のように会場を包んでいく。
…───ドキン…
その緊張感にあたしの心臓の筋線もピンと緊張する。
「───マリア様~!!」
「いっちゃーんっ!吾郎くーんっ!」
観客のみんなが口々に推しメンの名を叫び、あたしの緊張ボルテージはMAXまで上がった。
…───フッと一瞬空間が無音になり、心臓が浮いたかと思えば
───────
闇を突き刺すような一筋の光が天井から射し込んだ瞬間
「━━━Come on!」
━━━━━バンッ!
━━━━━ワァァァッ!
大きな爆音と爆発と歓声に包まれ
「キタ─────!!!!!
純くんキタ─────!!!!」
「やっ、もうちょ、死ぬ!!!!!!」
「ヤバイもうどうすんのーっ!!!!!」
「知んないよ!わぁぁあ心臓死ぬーっ」
そんな歓声を浴びて。
光輝く舞台から、笑顔で大きく手を振る朝岡さんが立っていた。