DEAR 2nd 〜Life〜
……けど、まだ手放しに喜べない。
これは“合格”したらの 話。
あたしが行きたい大学の推薦入試狙うなら、新学期の実力テストで出来るだけ点数取らなきゃいけない……。
……つまり、次のテストにかかってる。
「───よぉし!
じゃあ行ってくる!」
「彩?行くってどこ行くの?」
「えっとね、図書館♪
朝岡さんに勉強教えてもらうんだっ♪
……の前に、由梨とお茶するんだけどー♪」
そういいながら、玄関でミュールに足を通していると。
「───朝岡さん!?!?
朝岡さんってあの朝岡さん!?!?!?
あの、前に二回くらい、家に訪ねて来た人よねぇ?!?!」
─────……へ?
お母さんがあんまり大きな声で朝岡さんの名前を呼ぶもんだから、驚いて後ろを振り返った。
「……そうだけど……
朝岡さんがどうかした?」
「どうするも何も!
お母さん、あんなカッコイイ人見たことないわぁ!!!!
いつもすごく礼儀正しくて、お母さんにニコニコ笑ってくれるのよ!!!!」
「………へ…へー……
そう…………」
……心なしか、お母さんの目がキラッキラに輝いてるのは気のせい?
「───ねぇねぇ彩!
あの方とお付き合いしてるの!?!?」
「────はいぃ?」
思いっきり否定たっぷりにそう言ったのに、お母さんは何か期待してる眼差しだ。
「……ちょ……っ
ちょっと何言い出すの、お母さん!
朝岡さんはそんなんじゃないの!」
「えー!!!!!
じゃあ何なの!?」
「……何って……
ただ……別に……
……うーん……
どう説明したらいいか分かんないけど、本当にそんなんじゃないんだよ。」
お母さんはそれを聞くと少しガッカリしたように肩を落とし、
「……そう……
──あ!
でも今度遊びに来てもらったらどうかしら?
お母さん、美味しいクッキー焼いて待ってますって伝えておいて♪」
「────…はいぃ?」
どうして?
何故?
そう聞く前に、お母さんは上機嫌でキッチンに消えてしまった。
「…………」
もしかして、これは……
お母さん、朝岡さんの事気に入ってる感じ……
なのかな………?