DEAR 2nd 〜Life〜
「…………」
何だか朝岡さんに声を掛けるタイミングを逃し、しばらく立ち尽くして数秒。
───…思えば、
あたしはいつも笑顔の朝岡さんしか知らない気がした。
あんな風に、真剣に書物を読んでる姿なんか見るの初めてだ──…。
────………。
……何で……かな。
こんな風に朝岡さんを客観的に見てると、胸が一気にザワつくの。
……あんな朝岡さん、初めて見るから?
だから胸が慣れてないの?
だからこんなに息苦しいの?
───…朝岡さんが書物を棚に戻そうと、手を伸ばしたその時。
「────……?
─────…彩!」
──────ドキッ!
朝岡さんはあたしを見つけると満面に明るく笑い、にこにこしながら近付き、
「……どうしたん、そんなとこで突っ立って?」
「………え?えーと…
朝岡さん真剣に本読んでたから……
何か声掛けていいのかなって──……。」
よく分からない感情を隠すように、慌てて言葉を並べる。
「……あー、ごめんごめん。
つい気になるのあったら読みふけってまうからなぁ……。」
「……………
───朝岡さん……」
「ん?」
「…………。
ううん、何でもない……。」
「───?
変な彩やなぁ。
ほら、あっちに席取ってあるから行こう?」
朝岡さんはそう言って、笑顔であたしの背中を押した。
───…ねぇ朝岡さん。
……今、ね?
“………あたし、うまく喋れてる?”
本当はそう聞きたかったの。
……でもね、妙に胸が苦しいから。
朝岡さんにどんな顔をすればいいのか分からないんだ。
……あたし、今まで朝岡さんにどんな顔してた?
いつもどんな風に言葉を交わしてた?
どんな風に、いつもあなたと接していたのかな…?
「─────……」
………忘れちゃった。
忘れちゃったよ──…。