DEAR 2nd 〜Life〜
「……あぁ、うん。
とりあえず進学しようと思ってる。
───歯科衛生士の。」
「え、歯科衛生士?
……ってあの歯医者にいる?」
「うん、そう。
国家資格だから有利かなぁって思って。
ただそれだけなんだけど……。」
「───へぇー!すごいやん!!!!
そっかそっか♪医療系かぁ……」
朝岡さんは感心したように頷き、少し考え込んでた。
「…………」
一瞬チラリと視線を外したように思えたけど。
……でも初めて人に自分の進路を口にした事が嬉しかったあたしは
朝岡さんのそんな一瞬の変化に全く気付けずに
「……そっ、そんなことないよ!!!!
────あ!ねぇ!!!!
朝岡さんは?
朝岡さんはどうして音大進んだの?」
「───え、俺?」
「うんっ!
そういえばどうして音大目指したのとか、詳しく聞いてなかったなぁと思って……
知りたいなぁって♪」
自分がやっと目標見つけられたからかな。
何だか、今まで聞くと焦っていた“人の夢”を初めて余裕を持って聞ける気がしたの。
「……ん~……せやなぁ……。
俺は彩みたいに高校卒業してすぐには大学には行ってないよ。」
「────え?」
「───…高校卒業してからは社会人として数年働いてた。
………大学の資金と一人暮らしの資金貯める為にさ。」
「…………」
──…初めて聞く、朝岡さん本人の口から語られる“過去”。
……あたしの勝手な脳内イメージでは、朝岡さんって“音楽大好き人間!”って感じで。
高校卒業したら、ソッコー音大行ったとばかり思ってた──…。
「………俺は音楽勉強したかったんやけどさ。
親父と意見が合わんかったって言うか……
───まぁ、簡単に言やぁ、頭ごなしに反対されてさ。
……もちろん学費の面でも。」
───…あ……。
「……だから?
だから高校卒業してすぐに働いたの?」
あたしがそう尋ねれば、
朝岡さんはちょっと苦笑して、
「………ん……」
何かを思い返すかのように静かに頷いた。