DEAR 2nd 〜Life〜


「……あぁ、うん。

とりあえず進学しようと思ってる。



───歯科衛生士の。」






「え、歯科衛生士?



……ってあの歯医者にいる?」





「うん、そう。

国家資格だから有利かなぁって思って。



ただそれだけなんだけど……。」






「───へぇー!すごいやん!!!!



そっかそっか♪医療系かぁ……」






朝岡さんは感心したように頷き、少し考え込んでた。






「…………」






一瞬チラリと視線を外したように思えたけど。






……でも初めて人に自分の進路を口にした事が嬉しかったあたしは






朝岡さんのそんな一瞬の変化に全く気付けずに







「……そっ、そんなことないよ!!!!




────あ!ねぇ!!!!





朝岡さんは?



朝岡さんはどうして音大進んだの?」







「───え、俺?」





「うんっ!



そういえばどうして音大目指したのとか、詳しく聞いてなかったなぁと思って……



知りたいなぁって♪」







自分がやっと目標見つけられたからかな。




何だか、今まで聞くと焦っていた“人の夢”を初めて余裕を持って聞ける気がしたの。






「……ん~……せやなぁ……。




俺は彩みたいに高校卒業してすぐには大学には行ってないよ。」






「────え?」







「───…高校卒業してからは社会人として数年働いてた。




………大学の資金と一人暮らしの資金貯める為にさ。」





「…………」






──…初めて聞く、朝岡さん本人の口から語られる“過去”。





……あたしの勝手な脳内イメージでは、朝岡さんって“音楽大好き人間!”って感じで。





高校卒業したら、ソッコー音大行ったとばかり思ってた──…。







「………俺は音楽勉強したかったんやけどさ。




親父と意見が合わんかったって言うか……





───まぁ、簡単に言やぁ、頭ごなしに反対されてさ。




……もちろん学費の面でも。」






───…あ……。






「……だから?

だから高校卒業してすぐに働いたの?」






あたしがそう尋ねれば、

朝岡さんはちょっと苦笑して、






「………ん……」







何かを思い返すかのように静かに頷いた。



< 58 / 475 >

この作品をシェア

pagetop