DEAR 2nd 〜Life〜




……広い広い構内。





おまけに今日は人がわんさか溢れていて、マリアさんをすぐに見つけられる程、視界はクリアではない。





……うー……




大体どの辺りにいるか、しっかり聞いとくべきだったなぁ……。







───…はぁ………。



……喉……渇いたな……。






何度めかの溜め息を吐き、目の前の自販機にお金を投入した時だった。









「─────あっ……!」









──────いた…………っ!!!!!








自販機の後ろのガラス越しに、中庭でマリアさんがいるのが見えた。







─────…ガシャン!





急いで自販機のボタンを押し、二人分のジュースを抱え









「────…マリアさんっ!!!」







慌ててマリアさんの後ろ姿にそう叫ぶと








「──────……」








マリアさんは煙草をくわえながら、気だるそうにゆっくりと振り向いた。








ふっ……振り向いてくれた……







「────あ、あああの………っ……!」






─────……ドキドキドキ……!






……どっ、




どうしよう……。





あんなにいっぱい喋りたかったのに、緊張してうまく言葉が見つからない………。








「─────……何?」







─────…ドクッ…!






マリアさんは怪訝そうに、ジッとあたしを直視したまま目を動かさない。







「…………」






─────…ダメ。






伝えなきゃ……






伝えなきゃダメ───……!







─────…ギュウッ……!





ありったけの勇気を振り絞って固く目を閉じ、強く手を握った。







「────…あ、あのっ……!





マリアさんのライブ……




すごく素敵でした──…!




見ててとっても……



とっても楽しかったです……!




ありがとうございました……。」







─────…スッ……






そして、さっき買ったジュースをマリアさんに差し出した。






───…ほんの少し、




緊張に震える手で。



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