その手で触れて、そして覚えて。

「颯生くん。」

わたしがそう呼ぶと、颯生くんは俯き加減だった顔を上げて、わたしを見た。

「わたしは大丈夫。颯生くんのこと、待ってるから。」
「七花さん、、、」
「1ヵ月なんて、長いようであっという間だよ!」

そうは言ってみたものの、わたしだって寂しかった。

1ヵ月も颯生くんに会えないなんて、、、
想像が出来ない。

でも、本社での研修は颯生くんにとって必ず為になる事だ。

わたしが"寂しいから行かないで"なんて、言っちゃいけない。

すると、颯生くんはソファーに座った状態のまま、わたしを抱き寄せた。

颯生くんの抱き締めるその腕からは、不安や寂しさが伝わってくる。

そんな颯生くんをわたしも抱きしめ返した。

「もう、、、行くの決まってるんでしょ?」

わたしがそう訊くと、颯生くんは「はい。」と返事をした。

「小山課長、結構強引なところあるからね。いつから?」
「火曜日からです。」

火曜日、、、3日後かぁ。

「、、、七花さん。」
「ん?」
「こんなこと言うの、アレなんですけど、、、今から、抱いてもいいですか?1ヵ月も会えないんで、七花さんが俺のことを、、、忘れないように。」

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