その手で触れて、そして覚えて。
そして、颯生くんはその3日後の火曜日、千葉にある本社へ研修の為の出張に行ってしまった。
颯生くんの居ない社内はやはり寂しくて、ついつい颯生くんが普段使っているデスクの方を見てしまう。
でも、今回の研修は今後の颯生くんの為に必要なことだ。
わたしが寂しがっててどうする。
わたしは応援してあげなきゃいけないじゃない。
1ヵ月なんて、あっという間だ!
自分にそう言い聞かせ、わたしは颯生くんが居ない社内で毎日何事もないように業務をこなしていった。
そんな颯生くんの方は、毎日必ず朝には「おはようございます!」と夜には「おやすみなさい!」をLINEで送ってくれた。
その他は、たまに休憩時間にLINEをくれたりするが、やはり常に周りに誰かが居るからなのか会話という会話は出来なかった。
そして、わたしは颯生くんが本社に研修へ行くと同時に、冬司のLINEをブロックした。
颯生くんはやはり冬司の存在を不安がっていた為、少しでも颯生くんの不安を減らしたかったからなのだが、それは逆効果だったようだった。
ある日、仕事から帰って来ると、わたしの自宅のドアの前で冬司が待っていたのだ。
わたしはもう冬司とは関わりたくない。
わたしは俯き加減で冬司の存在が見えていないように自宅に入ろうとした。
すると、冬司はわたしの腕を掴み「おい、俺のこと無視かよ!」と言った。