その手で触れて、そして覚えて。

その土日は、ずっと颯生くんと過ごした。

颯生くんに包まれながら眠り、お腹が空けば、近くのスーパーに手を繋いで買い物に行って、久しぶりに二人で料理をした。

普通の日常的なことですら、颯生くんと一緒なら何でも幸せに変わってしまう。

「ねぇ、七花さん。」
「ん?」
「俺、次の昇格試験受けようと思ってるんです。」

昇格試験は、半年に一度受けられて、現在職務Ⅰの颯生くんは次の試験を受けて合格すれば、職務Ⅱに上がり、職務Ⅲまでいくと、次は主任への試験を受けられるのだ。

「俺、最年少の主任を目指します。もし、俺が最年少の主任になれたら、、、俺と結婚してくれませんか?」
「え、、、結婚?」
「誰にも七花さんを渡したくないので。ダメですか?」

颯生くんの言葉にわたしは首を横に振ると、「ダメじゃない。颯生くんが主任になれたら、わたし、街風七花になるね。」と言った。

わたしがそう言うと、颯生くんは嬉しそうにわたしを抱き締めた。

「でもその前に、職務Ⅱになれたら、一緒に暮らしませんか?七花さんがずっとここに住んでいるのは心配なので。」
「うん、いいよ。どこか違うところに部屋探して、一緒に暮らそう?」
「はい。俺、頑張ります!」

颯生くんはその言葉通り、次の昇格試験を受け、無事に合格した。

それから、わたしたちは約束通り同棲する為の物件を探し、1LDKのマンションを借りて同棲を始めた。

< 64 / 67 >

この作品をシェア

pagetop