契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
「落ち着きましたか?」

 出された緑茶を眺めながら茉莉花はコクンと頷いた。

『星空』の店主は、定休日だというのに温かいお茶を出してくれたのだ。
 先日と同じように。

「あの、助けていただいて……ありがとうございました。何度もご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

 これではこの前と同じだ。いや、それ以上に迷惑をかけている。
 茉莉花は申し訳ないやら情けないやらで、俯くしかなかった。

「さっき追いかけてきた男性、お知り合いではなさそうですね」
「はい……」

 顔は見えなかったが、茉莉花の知り合いに男性はほとんどいない。

(声はどこかで聞いた気もするけど……囁き声だったからよく分からない)

「どなたかお迎えに来られる人はいますか? ご家族とか恋人とか」
「いえ、一人暮らしですし。恋人もいません。いたら頼れたのですが……」 

 遠くで暮らす母に連絡するのも申し訳ない。
 酔っ払っていた優香に来てもらうわけにもいかない。

 そう考えると、茉莉花は誰にも連絡出来そうになかった。

「そうですか……」

 そう言ったきり、店主はしばらく何かを考え込んでいる。

(そうよね。そんなこと言われても困るわよね)

 茉莉花は居た堪れなくて、立ち上がった。

「あの、そろそろ失礼します。ご迷惑をおかけしました」

 頭を下げて店を出ようとすると、店主が茉莉花の腕をそっと掴んだ。



< 21 / 95 >

この作品をシェア

pagetop