契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
「ではごゆっくりお楽しみください」

 スタッフが一礼をして去っていくと、茉莉花はいよいよ追い詰められていた。

 雑誌でしか見たことないようなアフタヌーンティースタンドや華やかなティーカップが、目の前でキラキラと光り輝いている。

 勧められるがままに紅茶を一口飲んだが、味が分からぬまま喉を通り過ぎていった。


「ところで、どうして颯馬とお付き合いを? ほら、我が息子ながら結構面倒くさい男でしょう?」

(き、きた!)

 目の前に座っている颯馬の母が、興味津々といった様子で茉莉花を見つめる。
 定番の質問だが、墓穴も掘りやすそうだ。茉莉花はチラリと颯馬を窺った。

「茉莉花とは喫茶店で会ったんだ。客として来てくれた彼女に一目惚れして……恥ずかしいからそれ以上は内緒」

 颯馬は涼しい顔でさらりと言ってのけた。

(ひ、一目惚れ? その設定は無茶では……)

 否定したくても出来ない状況がもどかしい。茉莉花ははにかむように微笑むことしか出来なかった。


 肝心の颯馬の母の反応はというと、「あらあら、良いわぁ」とご満悦だった。

(お母様が好きそうな答えだったのね。流石だわ)


「ところで、貴方まだ喫茶店の経営を続けていたの? 無理してないでしょうね。せっかく恋人も出来たのだからもう少しゆとりを持って……」

 颯馬を諭すような口調になった彼の母を、隣に座っていた彼の父が「まぁまぁ」となだめる。

「いいじゃないか。おかげで素敵な女性と出会えたようだし、会社の方も順調なんだろう? 両立しているなら文句はないよ」
「まぁ……そうね。好きにおやりなさい。貴方は昔から一度決めたら譲らないんだから……」
「ははは、確かに昔からそうだったな」

 二人の話を聞きながら、茉莉花は心の中でクエスチョンマークを浮かべた。

(会社……? 颯馬さんの副業って会社経営なの? でも、喫茶店以外はずっと家で仕事をしているようだし……)




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