契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 茉莉花が小声で「颯馬さん」と声をかけると、彼は少し困ったように「後でお話します」と微笑んだ。

(なんだろう?)

 茉莉花は颯馬の反応が気になったものの、曖昧に頷く。
 今はスムーズな会話の方が重要だ。茉莉花は口角を上げて、颯馬の両親の方へ目線を戻した。



 その後は颯馬の助けを借りて、和やかな会話をすることが出来た。

「茉莉花さんは広告代理店にお勤めなのね。素敵だわ」
「颯馬の相手は疲れるだろう? 不満があったら、いつでも言ってくれ。しっかり叱っておくから」

 颯馬の両親は、茉莉花に対して好意的だった。

(優しい方々だなぁ。颯馬さんのご両親だものね)

 お見合いをさせたがる両親と聞いて、品定めをされる覚悟でいたのだが、全くそんなことはなかった。

 話し上手な颯馬の母。
 相槌を打ちながら満遍なく話題を振る颯馬の父。
 話しているだけで楽しくなってくる。

「この子ったら、勉強や仕事ばかりでちっとも浮ついた話がなくてね。もう良い歳だし、お節介しようと思っていたのよ。でも茉莉花さんみたいなしっかりとした方とお付き合いしているなら安心だわぁ。これからもよろしくね」
「こ、こちらこそ。颯馬さんにはいつも助けられていて……本当にお世話になっているんです」

 本当に本当にお世話になっている。
 颯馬に助けられた数々の出来事を思い出し、茉莉花は顔を赤らめた。

 そんな茉莉花の表情を見て、颯馬の両親は顔を見合わせて満足気に微笑んでいる。
 颯馬は少し焦ったように、茉莉花の顔を両親から隠した。


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