契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 颯馬の両親二人を見送った後、貸切の部屋はガランとして見えた。

 茉莉花が「色々と聞きたいのですが」と切り出すと、颯馬は神妙な顔で茉莉花の前の席に移動した。

「まずは、今日はご協力いただき、ありがとうございます。助かりました。それで……何から話しましょうか」

 頭を下げた颯馬は、先ほどまでのしっかりとした雰囲気が消え、申し訳なさそうにしている。

 両親の前では茉莉花を呼び捨てにして敬語を外していたのに、あっという間にもとに戻った颯馬を見ていると、思わず笑ってしまいそうだった。

(はしゃぎすぎて叱られた子犬みたい)

「少しでもお役に立てたなら安心しました。でも今後のために、もう少し颯馬さんのことを知っておきたいんです。会社のこととか、お兄さんのこととか……」

 そう言いかけて、茉莉花は言葉を止めた。
 颯馬の後ろから誰かが近づいてきたからだ。

(ここは貸切スペースだって言ってたのに……)

 しかも周囲の様子がおかしい。
 従業員達が皆、頭を下げているのだ。

(誰……? ホテルのお偉いさん?)

 颯馬も人の気配に気がついたのか、後ろを振り向く。

「兄さん」

 颯馬が声をかけると、その人は顔をパッと明るくした。




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