契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 颯馬から「兄さん」と呼ばれたその人は、颯馬に近づいて軽く挨拶すると、茉莉花の方を見た。

「どうもー。颯馬の兄です」
「ええっ!」

 茉莉花はガタッと音を立て慌てて席を立ち、頭を下げた。

「は、はじめまして。西原茉莉花です」
「ははは、そんなに緊張してないで。これが颯馬の彼女か。ごめんね、父さんと母さんが無理言って。あの二人帰ったんだろう? 折角だからゆっくりしていって」

 気さくに笑いかける彼は、颯馬とよく似ている。
 ただ颯馬よりシャープな顔つきからは、威厳を感じられた。

「兄さん、仕事はいいの? 後ろで部下が困ってるみたいだけど」
「あぁ、すぐ行く。ひと目見たくて抜けてきたんだ」
「また時間作るから、部下を困らせるなよ」
「はいはい。じゃあね、西原さん」

 呆然と立ち尽くす茉莉花にウインクをすると、颯馬の兄は颯爽と去っていった。
 その際、従業員に「藤堂社長」と呼ばれているのが聞こえた気がした。

(どういうこと……?)

「い、今のは……颯馬さんのお兄さん、ですか?」

 茉莉花が恐る恐る尋ねると、颯馬は苦情しながら頷いた。

「はい、兄の翔太です」
「社長って呼ばれてましたけど……もしかして」
「……はい、ここホテルウィステリアンを含む、藤堂グループの社長です」

 茉莉花は言葉を失った。

(藤堂グループって、あの藤堂グループ?)

 藤堂グループは茉莉花でも知っている大企業だ。
 高級ホテルをいくつも経営しており、TVのスポンサーとしてよく目にしていた。

(ということは、颯馬さんは……)


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