契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 ヤマハラ広告社内での茉莉花の評判も変わり始めていた。

 どうやら檜山に前科がついたことで、茉莉花が被害者だったと信じてもらえたのだ。
 休み明けの頃は、皆から傷物に触れるような態度を取られていたが、数ヶ月も経つとそれも収まった。

 けれど、茉莉花はもう会社での評価には興味がなかった。

(もうすぐ転職するもの)

 転職活動に力を入れた茉莉花は、来月から貿易会社の経理として働くことが決まっていた。
 ヨーロッパとの取引が多く、スイスの取引先も入っていることが決め手だった。

(颯馬さんの隣に相応しい人になりたい)

 お金を稼ぐための惰性で仕事を続けるのではなく、自分の目標に近づける仕事をしたい。

 その気持ちが、茉莉花を少しずつ動かしていた。 


「に、西原さん……この書類をお願いしたいんだけど」
「その書類の提出は先週でしたよね? 私何度もご連絡しましたよね? 私の独断では受け取れませんから、きちんと上司から遅延申請を承認してもらってください」
「あ、はい。すみません」

 キッパリとした物言いをするようになった茉莉花に、誰も文句を言うことはない。

「西原さん、こっちの仕事手伝ってあげて」
「承知しました。もう定時ですので、明日対応します。提出日は三日後ですし、それで構いませんか?」
「あ、あぁ。もちろん」
「それでは失礼します」

 茉莉花は定時になると会社を飛び出した。



< 93 / 95 >

この作品をシェア

pagetop