幼なじみは、私だけに甘い番犬
「何これ」
「誕プレ」
「誕生日、来週だよ?」
「知ってるよ。……その日、都合が悪いから、今渡しとく」
「……そうなんだ。開けていい?」
「ん」
包装紙を解くと、私がずっと欲しかった美容ブランドのヘアブラシが入っていた。
「えっ、どうしたの、これ……」
「買ったに決まってんだろ」
「っっ……」
幼い頃から私が酷い天パで凄く悩んでいることを知っている玄希。
お小遣いをこつこつ貯めて、いつか買おうとしているのも知っていたから……?
「ありがと」
素直に御礼を口にすると、玄希は少し照れた様子で顔を逸らした。
「私、まだ玄希の誕プレ、買ってないんだけど」
「……別に、要らねーよ」
「そういうわけにもいかないよ。毎年交換してるし。何か、欲しいものある?」
貰ったヘアブラシを丁寧に箱に戻していると。
「椰子」
「ん?」
「だから、……椰子」
「…………え?」
言っている意味が分からず、思わず隣りに座っている彼に視線を向ける。
すると、長い腕がスッと伸びて来て、何故かぎゅっと抱き締められた。
「……玄……希?」