俺様同期の執着愛
「じゃあ、何だったらいいんだよ?」

 柚葵は少し不機嫌そうな顔で問い詰めるように言った。
 どうして今日はこんなに余裕のない顔をしているんだろう。

「だから、いつもみたいに……」

 大人の割り切った行為を進めればいいだけだよ。
 お互いが満足できる気分を味わえればいいだけ。

 なんて、自分で思ってて虚しくなってきた。

 私は本当に柚葵とこの関係を望んでいるの?
 このままいつもみたいに行為になだれ込んで満足?

 そんな気持ちに揺れているとき、柚葵が私の頬に触れた。
 その指先はいつもの感覚と変わらないのに、今日はやけに熱くて、私は瞬きも忘れて彼の顔を見つめた。

 ゆっくりと近づいてくる。
 吐息が触れる距離。
 だけど私は動けなかった。
 避けようと思えば避けられたはずなのに、そのまま彼の行為を受け入れてしまった。

 初めて柚葵と唇が重なった。
 驚いて目を開けたまま硬直していたら、彼は少し唇を離し、それから今度は強く押しつけてきた。
 その勢いに呑まれて、わずかに開いた隙間から、彼は容赦なく深いキスをしてきた。

「んんっ、ふ……」

 当たり前だけど目を開けていられなくて、怒涛のごとく繰り返される理性を溶かされる熱いキスに腰が砕けそうになった。

 キスはしないって、言ったのに、こんな、愛し合うみたいなキス。
 勘違いしちゃうよ――。

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