俺様同期の執着愛
 私は柚葵にしがみつくようにして彼が繰り返すキスを受け入れた。
 あまりに長くて、息ができなくて、どうにか顔を離して呼吸をしようとしたら、彼はぼそりとささやくように言った。

「俺に合わせて」
「そ、んなの……」
「じゃあ、俺が合わせる」
「なにっ……んっ」

 もはやキスの約束がどうとか、そんな状態じゃなかった。
 ずっと混乱していた頭の中は、どんどん蕩けていって、何も考えられなくなっていた。

 こんなキス、知らない。
 今まで体験したことがない。

 強引なのに優しくて、息苦しいのに切なくて、激しいのに気持ちいい。

 足の力が抜けて膝ががくんと折れる。
 立っていられなくなった私の体を、柚葵の腕が支えてくれた。

「ゆ、ずき……」

 自分でもびっくりするくらい、甘く艶のある声で彼の名を口にしていた。
 呼吸が乱れて熱い息が洩れる。
 そんな私を、柚葵は間近でじっと見つめてくる。

「あんまり、見ないで」
「なんで?」
「だって、すごい顔してるから」

 恥ずかしくて死にそう。
 だけど、柚葵は意外なことを口にした。

「可愛い、綾。もっと見せて」

 彼の指が私の顎を持ち上げて、視線を絡めてきた。
 ぞくぞくと快感に似た感覚が背筋に走り、同時に猛烈な切なさが襲ってきた。

 優しくて、甘くて、ずるい。

 そんなこと言わないで。
 これ以上、勘違いさせないで。

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