俺様同期の執着愛
 くしゅんっと、小さくくしゃみをした。
 それを見た柚葵が少し慌てる。

「寒いな。悪い。こんなとこで」
「ううん……あの、柚葵」
「ん?」

 気持ちを伝えたから、もう言いたいことを口にしてもいいよね。

「その……手、つないでもいい?」

 柚葵はぽかんと口を開けて驚いた顔をしたあと、頬を赤らめて手で顔を覆った。

「柚葵?」
「お前、それ……破壊力」
「ごめん。いきなり」

 柚葵は目線だけ私に向けて、ゆっくりと近づくと、私の手を握った。
 それから彼は私の真横に立って、少し歩く。
 雪が降っているけど、柚葵の手が熱いから、ぜんぜん寒くない。

 離れの露天風呂から戻ってきた人たちの声がした。
 私たちの近くを通りかかったようだ。
 私が慌てて手を放そうとしたが、柚葵がなぜかぐいっと私の手を引っ張った。
 その勢いで、私は彼に寄りかかるようになってしまった。

「柚……っ」
「こっち来て」
「えっ……」

 柚葵に半ば強引に連れ込まれたのは、建物の陰にある茂みの中。
 外灯も近くにないから、暗くて向こうからは何も見えない。

「何、こんなところで……」
「まだ戻りたくない」
「でも、寒いよ」
「寒くなければいいんだろ」

 柚葵はそう言って私の背中に腕をまわすと、ぎゅっと抱きしめた。
 たしかに、これなら寒くない。ていうか、彼の体温が熱くてのぼせてしまいそうだった。

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