俺様同期の執着愛
「柚葵、いい加減に……」

 恥ずかしさに耐えきれず、睨みつけるように見上げたら、柚葵はすごく優しい顔をしていた。
 今まで見たことのない彼の表情に、胸がぎゅっと締めつけられる。
 だから私はそれ以上、何も言えなくなってしまった。

「綾芽、好きだ」

 どきりとする。
 そんな顔でそんな言葉が、柚葵の口から出てくるなんて、まだ信じられない。

「も、もう、何度も聞いたよ」
「何度でも言うし、言いたい。好きだ好きだ、好きだ」
「は、恥ずかしいよ。柚っ……」

 彼が自分の額を私の額に当てた。
 一番近い距離で、彼はそっと真上から呟く。

「もう我慢しない」
「えっ……」

 私が何か返す前に、柚葵は私の唇を塞いだ。
 同意していないのに、勝手にこんなことして――

 私は柚葵の袖をぎゅっと掴んでいたけれど、気づくと彼の背中に腕をまわして抱きしめていた。
 触れるだけのキスはだんだん深くなり、お互いの息が重なっていく。
 雪の冷たさも忘れるほど熱く、ほんの少し激しく交わした。

 こんなところでだめだって、頭の片隅で理性を必死に保とうとしたけれど、彼の熱が簡単にそれを壊していった。
 ううん、違う。壊したのは私だ。
 嬉しくて、幸せで、もう抑えられなかったから。

< 161 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop