シンママ派遣社員とITコンサルの美味しい関係

第七話「仕事の合間に」

 月曜日、朝のオフィス。いつものように部長の鷲尾に今日の予定を伝えた美咲は、自席に戻るとメールチェックを始めた。
 未読のメールの中に、プロジェクトマネージャーの村瀬からの依頼が届いている。
 
「ステアリングコミッティー用の資料を作成してください。添付の資料をアジェンダ順に並べて形式を整えてください」

 メールには、村瀬のほか、実装チームリーダーの岡田、そして技術リードの瀬尾が作ったプレゼン資料が添付されていた。
 また資料整形ね……

 美咲はすぐにファイルを開き、作業に取り掛かる。
 村瀬が作成したプレゼン資料をベースに、岡田と瀬尾が作った資料を該当箇所にマージしていく。
 瀬尾さんの担当は……技術課題のセクションね。

 ファイルを開くと、AI技術の最新の応用事例についての解説が並んでいた。
 美咲はフォーマットを整えながら、自然と内容に目が留まる。
 ――さすがエマージングテクノロジー部の精鋭ね。

 技術的な部分は専門外だが、論理的で分かりやすい構成に感心する。
 資料のデザインを統一し、不要な改行の削除やインデントの調整をしながら、美咲はふと先週のやり取りを思い出した。
 料理の話をしてた人と、同じ人物とは思えないわね。

 瀬尾は仕事では冷静で的確、まるで別人のように見える。
 美咲は微笑みつつ、仕上げた資料を村瀬に送付した。

 しばらくすると、村瀬から短い返信が届く。

「確認しました。ありがとう」

 いつも通りのやり取りを終え、美咲は息をつき、 美咲は次の仕事に取り掛かった。
 
 昨日の瀬尾の「よかったです。佐伯さんなら上手く作れると思ってました」というメッセージが、ふと頭をよぎった。
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