いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「羽澄さんとの会話もすごく楽しかったけど、仕事の邪魔になったら申し訳ないから連絡はやめておく。私も寮に戻ってからも復習と予習があるからね」
「麻衣子は成績優秀じゃない。勉強ばかりじゃなくて少し息抜きした方がいいんじゃない?」
「来週は実地研修で遠出もあるから、今はそれに集中したいと思って」

 本当は彼ともう一度話したい。このまま縁が切れてしまいそうで寂しくなる。けれど自分から連絡をする勇気がない。もし迷惑そうにされたら、厚かましいと思われてしまったらなど悪い方に考えてしまうのだ。

 亜里沙は麻衣子の本音を隠した言い訳に納得してくれたようだった。

「それもそうか。学生の本文は勉強だもの。私も頑張らなくちゃ」

 亜里沙は、日本に帰国後、フラワーショップを開業する予定でいるそうだ。

 実家が管理している土地にちょうど良い場所があるらしく、かなり具体的なプランが仕上がっている。

 とことん拘って素敵な店に仕上げたいそうだ。ショップのイメージ画を見せて貰ったが、スタイリッシュで人目を惹きそうな店だった。亜里沙は天性のセンスがあると思う。

 加えて恵まれた家庭環境。彼女を羨ましいと思う気持ちが、まったくないと言えば嘘になるが、それ以上に頑張ってほしいと思うし、応援している。

「ねえ、後で一緒に復習しようか」

 麻衣子の誘いに、亜里沙が顔を輝かせる。

「いいの? 麻衣子は授業内容を分かりやすくまとめているから、助かるんだ」
「私も亜里沙がいると、予習が捗る。テキストを読むとき躓くことが多いから」

 麻衣子の場合、語学にもう少し力を入れないといけないかもしれない。

 授業後の予定を話し合っていると、さきほど感じた喪失感に似た寂しさは、いつの間に
かどこかに言ってしまっていた。 

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