いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
 とくに大樹が楽しみにしていて、絶対に遊ぶのだと張り切っていた。

 麻衣子の言葉でそのことを思い出したらしい大樹が、ぱっと起きた。どうやら眠りよりも遊びが勝ったらしい。

「やった! はれてる!」

 一度起きたら元気いっぱいで、明るい陽射しが差す窓の向こうを見て、笑顔になる。

「はやくいこー!」

 たった今まで起きたくなさそうだったのに、急に元気になって張りきりだしたが、柚樹が冷静な意見を言う。

「はやくいっても、ほいくえん、あいてないよ」
「はやくいったら、あけてくれるかもしれないだろ!」
「せんせいにおこられるよ。だいはこのまえもルールをまもらないでおこられたでしょ?」
「ゆずだっておこられただろ!」
「だいのせいで、おこられたんだよ」

 負けず嫌いの大樹がむきになり、話が別の方向に進みはじめる。

 麻衣子はいつものふたりのやり取りにくすりと微笑んでから、割り込んだ。

「まずは顔を洗って、朝ごはんを食べてから準備をしないと、保育園に行けないわよ」
「そうだ! かおあらってくる!」

 大樹が慌ただしく寝室を出て、階段を下りていく。

「危ないから階段は走らないで!」

 麻衣子は慌てて高い声を出した。大樹はかなり運動神経がいいのだけれど、まだ加減を知らないから、突っ走って怪我をしてばかりでいる。

「もう仕方ないなあ……ゆず、下に行こう」
「うん」

 麻衣子は小春を抱っこしながら、柚樹を連れて一階に降りる。

「ゆず、はる、おはよう」

 身支度を済ませた絵麻が、キッチンから顔を出した。

「卵とウインナー焼いておいたよ」

 ダイニングテーブルには、綺麗な厚焼き玉子と、子供が喜ぶ飾り切りをしたウインナーが、彩りよく並んだ皿がおいてあった。

 管理栄養士と調理師の資格持ちの絵麻は、麻衣子よりもずっと料理が上手く、盛り付けのセンスもある。
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