いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
「わあ、かわいい!」
とくに小春は絵麻が作ってくれる可愛い料理に心をくすぐられるようで、いつもうれしそうに満面の笑顔になるのだ。
「絵麻ありがとう、助かるよ」
「いいって、それより早く食べちゃおう。ゆずは顔を洗ってきな」
「うん」
柚樹が洗面所に向かうのと同時に、大樹が駆け戻ってくる。テーブル上の朝食を見て、「うまそー」と声をあげた。相変わらず元気いっぱいだ。
「小春も顔を拭こうね」
小春はまだ自分で顔を洗えないので、蒸しタオルを用意している。
「あ、タオル用意しておいたよ」
絵麻が丁度いい温度のタオルを持ってきてくれた。
「どうもあ……」
「わああ!」
タオルを受け取ろうとしたとき、真後ろで大樹の悲鳴がした。どうやらまた何かしでかしたらしい。
麻衣子がはあとため息を吐き、絵麻が苦笑いになる。
「お姉ちゃん、だいの方を見てあげなよ。はるは、こっちにおいで顔を拭いてあげるから」
「うん、えまちゃん」
小春が麻衣子の腕から降りて、絵麻の元に向かう。
大樹は麦茶のコップを零してしまったようで、ダイニングテーブルの下が水浸しになっていた。
「もう……だいはもう少し落ち着きなさい」
「う、ごめんなさい」
大樹は叱られた子犬のように弱弱しくなる。自分が悪いことをしたと思っているようで、麻衣子と一緒になってせっせと床を拭いているが、水が零れた範囲を広げるだけで、あまり役には立っていない。それでも一生懸命な様子は伝わってくる。
「広げないで、こうやって水をタオルに吸わせるといいよ」
せっかくだからと、掃除の仕方を教えてみる。
「こう?」
大樹は器用に真似してみせる。
「そうそう、上手だよ」
「へへっ」
褒められてうれしくなったのか、大樹はすっかり元気になった。
「だい、またこぼしたの?」
「はるも、きれいにする」
「タオルでこうやってふくんだって」
柚樹と小春がやってきて、三人で仲良くタオルを持って拭きはじめる。
仲良い様子が可愛くて、麻衣子は思わず微笑んだ。
アクシデントにイライラしてしまうときもあるけれど、子供たちとの暮らしは楽しくて幸せだ。