好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

夏、青春

~風里~

それから小糸ちゃんとはたまに公園で会うようになった。



今まで気にしてなかったから気づかなかったけど、小糸ちゃんはかなりの頻度でこの公園にいる。



家にはどうしても居づらいみたいだ…。



公園で見かけると声をかけるようにしてる。



声をかけると嬉しそうにしてくれるから、俺も声のかけ甲斐がある。



「いらっしゃいませ~」

「小糸ちゃん、やっほー」



花屋さんでも会う。



「はい、これお会計お願いします」

「先輩、こういうのっていつも何に使ってるんですか? この流木とか…」



小糸ちゃんが不思議そうに俺の買うものを見る。



「ん~、この流木は花を添えて写真撮ったり~、こっちの葉っぱは色を抜いてキャンバスアートにして売ったりするよ」

「へえ~、さすがですね」



感心した顔の小糸ちゃん。



たしかに花を生ける以外でこういう使い方は馴染みないかもね。



お金を払って家に帰った。



「ただいまー」

「おかえり」



家に帰ると姉ちゃんの陽鞠(ひまり)とその彼氏の(なぎさ)くんが来ていた。



4歳上の姉ちゃんは大学3年生。渚くんは姉ちゃんの1個下の大学2年生だ。



渚くんはよくうちに遊びに来るから、結構仲は良い。



「この前風里が映画館で女子といるの見たぞ。彼女?」

「うわ~、それ、センシティブな話題だからやめて…」

「振られたのか…」



違うけど…。
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