好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「開けてみて」



俺の言葉で、小糸ちゃんが紙袋からそっと中身を出した。



箱に入れた小ぶりのチョコケーキ。保冷もバッチリ。



一輪バラを挿してある。



「ええ~すごい!」

「バレンタインね」



ぱっと顔を輝かせた小糸ちゃんは、次の瞬間に顔を暗くした。



「どうしたの…? 嫌だった…?」

「あたしのバレンタイン超えないでください!」

「えっ…」



ちょっと怒ってる…。



ええ~…。



がっかり…。



「ごめん…? っていうのも違うか…」

「先輩の気持ちは嬉しいです。嬉しいけど、今日くらい輝きたかったです!」



でもバレンタインに俺だけなんかしてもらうのもなあと思って…。



俺もなにかしてあげたいと思っちゃったんだもん…。



そういえば、昔付き合ってた彼女にもこういうので怒られたことがある気がする…。



今更思い出す俺。



小糸ちゃんはそのまま先に行ってしまった。



追いかけて手を取ったけど振りほどかれてしまった…。



がーん…。



俺、ショック…。



暗い気持ちのまま一人でしょんぼり学校に行くと、同じく暗い顔をした穂高がいた。



「おはよー…」

「はよ…。なんか暗いな」

「そっちこそ…」



俺は朝の事情を穂高に話した。



穂高は速攻「お前が悪いよ」と言った。



やっぱり…?
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