好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「バレンタインに彼女のために何か用意するのはいいけど、彼女がくれるものよりちょっと上回っちゃうのなんて最悪。お前は自分が人より抜きんでてセンス良いこと自覚した方がいいよ。彼女のほうが恥かくじゃん」

「そう…。だって喜ばせたかったから…」

「結果喜んでねえじゃん。お菓子系とかじゃなくてジャンルの違うアクセサリーとかにすれば良かったんだよ」



しっかりまともに怒られてる…。



穂高、自分のことだと全然分からないのに人のことは冷静に見れるんだね…。



反省した俺は、小糸ちゃんに『ブラウニーありがとうね、大事に食べるね』とメッセージを入れた。



既読無視…。



どうしたらいいんだ…。



小糸ちゃんに嫌われるのだけは勘弁だよ…。



「で、穂高はなんで暗いの?」

「バレンタインだからだよ! どうせ明莉ちゃんから何も来ないと思うし…。なんかもしかしたら彼氏いるかもしれないし…」

「彼氏?」



話を聞くと、この前たまたま帰る時間がかぶって一緒に帰るついでに夜ご飯も食べてたら、明莉ちゃんのスマホに男から『明日家行っていい?』という通知が来ていたらしい。



「でもクリスマス来てくれたじゃん。彼氏いたら行かなくない?」

「でもクリスマスの誘いも既読ついてからしばらく返事なかったし…。良い感じの男がいるのかも…」



2人で「ハア」とため息をついた。



悩める少年だね、俺たち…。



でもそのとき、穂高のスマホが鳴った。



「えっ!?」



穂高はびっくりした顔をして立ち上がる。



「どうしたの?」

「見ろよ、これ…」



穂高から見せられたスマホの画面。



『今日の放課後、時間ありますか?』



明莉ちゃんからだ…。
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