好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
あたしは電話を切って先輩に駆け寄った。



そのまま胸に飛び込む。



先輩はそんなあたしをぎゅっと抱きしめてくれる。



「会いたかった…」



あたしがそう言うと、先輩が優しく頭を撫でてくれた。



「どうしたの…? 市川さん?」



あたしはゆっくりうなずいた。



それから先輩に手を引かれて公園のベンチに座った。



座りながら先輩があたしのことを抱きしめて背中を優しくトントンと叩いてくれる。



なんか落ち着いてきた…。



あたしはゆっくりとさっきの出来事を話した。



先輩はうなずきながら優しく聞いてくれてて。



「小糸ちゃん、いいこいいこ」



そう言って頭を撫でる先輩に、なんだか笑みがこぼれた。



「小糸ちゃんのせっかくの誕生日なのにね。勘弁してほしいよね、ほんと」



そう言って、もう一度あたしの頭をポンポンと撫でた。



「どうする? 俺の家来る? それとももう少しここいる?」

「先輩の家行きたいです…。寒い…」

「よっし、じゃあ行こ!」



そう言って立ち上がって、あたしに手を差し出した。



握った手はやっぱりあったかい。



あたしには先輩しかいないかも…。



お母さんだってあたしの気持ちを理解してくれないのに、先輩はあたしのこと分かってくれる。



先輩と一緒に歩いて家まで向かった。



「ただいまー…ってあれ?」



入った家は真っ暗。



誰もいないの…?



風里先輩がスマホを見て「あ」と言った。



「両親は仕事、姉ちゃんは飲み会で遅くなるって」



そうなんだ…。



でも、今仲良し家族見るとちょっとダメージくらいそうだったからちょうどよかったかも…。
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