好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
は、恥ずかしい…。



だけど誰よりも好きな風里先輩と、今、ずっとずっと近くになりたいもん。



あたしも先輩と同じだよ。



先輩がすごく嬉しそうな顔してる…。



かわいい…。


「あ、でもお風呂先に入りたいですっ」

「ああ、そうだよね。一緒に入る?」

「それは嫌ですっ」

「嫌って言われた…」



顔に『ガーン』って書いてある…。



だってお風呂入ってる途中でお家の人帰ってきたら超気まずいじゃん…。



「先輩先入ってください」

「いいよ、小糸ちゃんが先入りなよ」

「いいんです、先入ってください!」



だって待ってる間に寝ちゃうかもしれないし…。



それは先輩に申し訳ないというか。



あたしが残念というか。



先輩が「じゃあ…」と部屋を出て行った。



あたしは部屋に一人。



先輩からの手紙、ゆっくり読もう。



荷物を家に置くこともなくそのままで来ちゃったからスニーカーの紙袋も花束の紙袋も全部ある。



あたしはお花を見つつ、先輩の手紙を開いた。



手紙に散らばる愛の言葉たち…。



あたしすごく愛されてる。



さっきまでの嫌な気持ちも全部上書きされていく。



こんなに愛をくれる先輩を、愛以外どう返したらいいか分からないや…。



なんでこんなに好きでいてくれてるんだろう…。



不思議…。



先輩は魅力たっぷりだけど、あたしの魅力とは…?



手紙には『小糸ちゃんの素直で可愛いところが好きです』と書かれている…。



ふうん…?



あんまピンとこないや。



でも嬉しいのは事実。



ご満悦で手紙を大事にしまっていたら、先輩がお風呂から上がってきた。
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