好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
2人とも動きがびくっと固まる。



小糸ちゃんが立ち上がった。



と同時に、「ただいまー」と言う声とともに、小糸ちゃんのお母さんが入ってきた…。



小糸ちゃんのお母さんは、俺を見てキョトンとした顔。



「お、お母さん…。早かったね…」

「うん、仕事が早く終わって。それより…」



俺を見る小糸ちゃんのお母さんに、俺は思わず立ち上がってお辞儀。



「小糸ちゃんとお付き合いさせてもらってる霜月風里です! 突然お邪魔しちゃってすみません…!」



さっき小糸ちゃんのお母さんに挨拶したいとは思ったけど、こんなタイミングとは…。



俺は冷や汗をかいてるよ…。



でも、小糸ちゃんのお母さんは優しく笑ってくれた。



やっぱ優しい顔が小糸ちゃんに似てる…。



「小糸がいつもお世話になってありがとうね~。ちょくちょく話は聞いててどんな子か気になってたの!」

「なんか…すみません…」

「あはは、何がすみませんなの? 小糸がこんなかっこいい子と付き合ってるなんて嬉しいわ~。すごく好青年って感じだし」

「ありがとうございます…」



彼女の親ってめっちゃ緊張かも…。



でも小糸ちゃんもそわそわしてる感じ…。



小糸ちゃんもまさかこんなタイミングで俺とお母さんが鉢合わせるなんて思ってなかったよね…。



「何もない家だけどゆっくりしていってね」



優しいな…。



小糸ちゃんに「先輩、ちょっとこっち…」と言われ、小糸ちゃんの部屋に連れてかれた。



「なんか…すみません…」

「いやいや~、突然で緊張したけど小糸ちゃんのお母さんに会えてうれしかったよ」

「本当ですか…?」

「うん、お母さんやっぱ小糸ちゃんに似てて美人だね」

「そう言ってくれて良かったです…」



固くなってる小糸ちゃんに、俺はふっと笑って頭を撫でた。
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