好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
~小糸~

やばいやばいやばい。



勢いで風里先輩に好きって言っちゃった…。



だって真面目な顔で「俺のこと好きじゃないの?」なんて言うから…。



「好き」以外の言葉がどうしたって出てこなかった。



そのまま走って逃げてきちゃったけど。



着いた結くんの家では、「なんか顔赤ぇぞ」と言われてしまった。



やっぱり!?



「は、走ったからだよ」

「そ」



でも、先輩はなんであんなこと言ったんだろう…。



あたし、好きなのバレバレだった?



まさか先輩もあたしのこと好きなんてこと…。



ないか…。



もしそうだったらあの時点で自分も好きって言うもんね…。



なんで言われたのかはよく分からないけど…。



結局脈なしのまま…。



まあいいか…。



好きって言っちゃったものは取り消せないし。



本当に好きだもん。



好きな人に好きだと言うのは生まれて初めて。



彼氏もいたことないし。



だけど好きって本人に言えるのって嬉しいかも!



なんか…自分を解放させてもらってるみたいな?



ちょっと甘えてるみたいな。



そんな気分。



結くんとノートを交換して、そのままついでにご飯もごちそうになった。



結くんとは幼稚園の頃からの仲良し。



家も近くで、小学校・中学校は毎日一緒に登校してた。



結くんは小さいときからお母さんがシングルマザーで、あたしの両親が離婚したときも色々話を聞いてくれてて。



ありがたい存在の幼馴染だ。
< 29 / 351 >

この作品をシェア

pagetop