好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
その日の放課後。



いつも通り俺の部屋で小糸ちゃんに勉強を教える俺。



なんか上の空かも…。



「先輩?」

「ん?」

「大丈夫ですか…? なんか心ここにあらずみたいな…」

「いやいや、ごめんね? 寝不足で…」



やっぱバレてるよねえ、俺が変なこと…。



隠しきるなんてやっぱり無理かも…。



そう思ってたのに、小糸ちゃんからびっくりするようなことを言われた。



「綾乃さんと…何か…あったんですか…?」



俺はあまりにもびっくりして、小糸ちゃんの顔を目を丸くして凝視した。



小糸ちゃんはちょっと泣くのをこらえてる顔で。



「なんで…」

「だって先輩最近変なんだもん…。あたしに隠し事してるって、それしか思いつかなかった…」



バレ…てた…。



俺はなにも言えない。



思わず小糸ちゃんのことを抱きしめた。



「ごめん…ずっと黙ってて。本当に申し訳ない。ずっと不安だったよね…」



俺がそう言うと小糸ちゃんは涙をあふれさせた。



「不安だったよ…。先輩が言わないから、信じようともしたんだよ…。でも本当だったんだね…」



小糸ちゃんの胸の痛みが伝わってくるようで。



本当に申し訳ないことをした…。



小糸ちゃんにこんな風に思わせたらいけなかった…。
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