好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「はい、これ味見して」



俺はそう言って玉ねぎのかけらを小糸ちゃんに箸で差し出す。



「熱いから気を付けてね」



一瞬戸惑った顔の小糸ちゃんは、ちょっと顔を赤らめてからぱくっと食いついた。



「ばっちりです!」



おお、良かった良かった。



「明莉ちゃんも、はい」



明莉ちゃんにはにんじんを差し出す。



ってなんか穂高が俺のことじっと見てる…。



あっ、もしかして今のダメだった!?



明莉ちゃんは普通に食べて「まだちょっと火通ってないかもです」と言ってくれたけど…。



でも小糸ちゃんも心なしかちょっと顔が暗いような…。



すみません…。



人間関係って難しいな…。





「花火でもする?」



一通り食べ終わってきたので提案してみた。



なんか家にあった気がする…。



「花火! やりたいです!」

「おっけー。ちょっと待ってて」



俺はみんなを庭に残してリビングへ。



「花火どこー?」



探しても見つからないので母さんに聞く。



「花火? ないよ」

「え~、この前なかった?」

「陽鞠が渚と一緒に使っちゃった」



そうか…。



残念。



「花火なかった~。買いに行ってくるよ」

「まじ? いいの?」

「うん。小糸ちゃん、一緒に行こ」



穂高は明莉ちゃんと2人にしてあげよう。



穂高が俺に両手を合わせた。



上手くやるんだよ~。
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