好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
小糸ちゃんと一緒にお財布とスマホだけ持って家を出た。



すっかり暮れてきた夕日はものすごく綺麗。



俺は少しずつ変化していく空の表情をスマホのカメラに収めた。



「うわ~、スマホカメラなのにめっちゃ綺麗ですね…」

「そう?」

「はい、あたしが同じの撮ってもただの空の写真になっちゃいますよ…」

「あはは、難しいよね、写真って」



そんなこと言いながら2人で空の写真を撮る。



「ほら、見てください。全然違う…」

「光のバランスとか調整してみたらいいんだよ。ここをこうして…ほら、撮ってみて」



小糸ちゃんのカメラの設定を変えてみる。



小糸ちゃんは素直に空に写真を向けた。



「ほんとだ! さっきより良くなってる…!」

「ね?」

「先輩、こっち向いてください」



小糸ちゃんが俺にカメラを向けた。



俺はそのままピース。



「いいの撮れた?」

「はい、ホーム画面にしてもいいですか?」

「何それ~」

「実は今も先輩の写真なんですよ…」



そう言って見せてくれたのは、前に一緒に花冠を作ったときに、ふざけて小糸ちゃんが俺の頭に花冠を乗せた時の写真。



こんなのホーム画面にしてくれてたの…。



俺は思わず小糸ちゃんの頭を撫でた。



「かわいいことするね」



俺がそう言うと、小糸ちゃんの顔が少し曇った。



あれ…俺なんかやっちゃった…?



小糸ちゃんが俺のことをまっすぐ見てる。



なんかちょっと泣きそうな顔…。



「先輩って…あたしのことどう思ってるんですか…?」



小糸ちゃんが、泣きそうな顔のまま俺に聞いた。



あらら…直球で聞かれちゃった…。



うーん、なんて答えたら…。
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