好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「小糸ちゃんは、かわいい後輩だなーと思ってるよ」



思っていることをそのまま伝えてみた。



だけど、小糸ちゃんは涙目になった…。



あああ、そんな顔しないで…。



「あたしはこんなに好きなのに、先輩はちっともあたしのこと見てくれない!」



小糸ちゃんがそう言って半泣きのまま怒り出した。



「もう会ったり話したりするの…いやだ!」



目に涙をいっぱい貯めて。



こんな状況で、不謹慎にもそれがちょっとかわいいなんて思っちゃう俺…。



俺ってSっ気あるかも…。



小糸ちゃんは泣きながら反対方向に歩き始めた。



「小糸ちゃん、待って」



そう言って小糸ちゃんの腕をつかんだものの、すぐに振りほどかれる…。



どうすることもできない俺は、小糸ちゃんの後ろ姿を目で追うしかなくて。



無様だな…。



そのまま一人で家に帰った俺。



「小糸ちゃんは?」

「俺のせいで帰っちゃった…」

「はあ?」



あんまり事情を説明するわけにもいかないし…。



明莉ちゃんが小糸ちゃんに電話をかけたけど、出ないらしい。



小糸ちゃんのこと、傷つけてしまった…。



それがなんとも悔しくて、自分で傷つけたくせに、小糸ちゃんのことが心配だった。
< 39 / 351 >

この作品をシェア

pagetop