好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「ごめんごめん、気悪くした?」

「してないです…。恥ずかしくて…」

「あはは、ごめんね」



そう言う先輩の顔はやっぱり綺麗…。



でもこんな近づいたのにやっぱり気づかれないあたしの存在って…。



そう思ってたら、先輩があたしの顔をじっと見てきた。



「な、なんですか…?」

「なんか見覚えある」



今更だけど気づいてもらえた!



「あ…同じ学校の後輩です。あと、先輩がよく来てくれる花屋でバイトしてます!」



そう言うと、先輩は「ああ!」と納得した表情になった。



「気づかなくてごめんね」

「いやいや! あたしなんか全然気づいてもらえるような存在じゃないんで…」

「何それ。そんなことないでしょ。俺が周り見てなさすぎなだけ」



優しいんだな~…。



ていうか、風里先輩とこんなに話したの初めてだ…。



「名前は?」

「あ、鶴巻です! 鶴巻小糸!」

「かわいい名前だね。俺は霜月 風里(しもつき ふうり)です」



知ってます…と思ったけど、キモがられるかなと思って知ってることは言わなかった。



あたしはあいまいに笑う。



「小糸ちゃんはこんなとこで何してたの? ブランコ遊び?」

「ち、違いますよ! 暇つぶしです…」



なんかからかわれてるような…。



先輩は笑いながらブランコから立ち上がった。



それから、公園に生えてるシロツメクサを摘み始めた。



何してるんだろう…。



「暇つぶしってことは、これからどこか出かけるの?」

「いや~…なんか家に居づらくって…」



先輩は、あたしの言葉にキョトンとした顔。



かわいい表情だな~…。



かっこいいしかわいいなんてズルだ!



「母親の彼氏が家に来てて…。居づらいんですよね…」



あたしは、先輩の魅力に引き込まれるようにしながら自分の話をペラペラと話してしまう。



親の再婚を受け入れられないこととか、お父さんがお母さんから本当に捨てられたんだと思って悲しいこととか。



そんなことを色々。



なんでこんな話しちゃってるんだろう…。
< 4 / 351 >

この作品をシェア

pagetop