好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
話しながら、先輩は聞いてるのか聞いてないのか、手元でシロツメクサを編んでる。



それから、「できた!」と言って、出来上がったシロツメクサの花冠をあたしの頭に乗せた。



「何してるんですか…」

「花冠。かわいいでしょ? 似合うよ」



あたしって子供だと思われてる…?



でもなんか嬉しいや…。



「でもほんと、それは家帰りたくないね」



先輩があたしに言った。



ちゃんと話聞いてくれてたんだ…。



「その市川さん? って人も、嫌な人なら良かったのにね」

「そう! そうなんです! 優しいから、こんな風に嫌がってるのもなんか罪悪感があって…」

「小糸ちゃんは何にも悪くないのに、なんか割り食っちゃってるよね。全部キライだ!って言えたら楽なのにね」



なんでこんなに理解してくれるんだろう…。



あたしの言ってないことまで全部言葉にしてくれる…。



先輩には全部を見透かされてる気がする。



それがなんだか心地よくて。



先輩の前髪を揺らす風が、同じようにあたしの髪も揺らす。



なんかドキドキしてきた…。



あたし、先輩のこと…好きになっちゃったかもしれない…。
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