好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
リビングに出ると、悠麗くんと玖麗ちゃんが一緒にキッチンで料理してた。



「おお、風里。飯食ってくだろ?」

「いいの? っていうかなんか時間かかりそうだから泊まっていきたいんだけど…」

「好きにしな」



わーい。



リビングでお茶を飲みながら2人のことを眺める。



悠麗くんが玖麗ちゃんにスープの味見をさせてる。



平和だ…。



と同時に、頭の中に小糸ちゃんが現れる…。



俺がお店に行って嫌な思いはしていないだろうか…。



なんでこんな気になってるんだろ…。



「はい、できたよ~。そこ拭いてくれる?」

「ありがと~」



はたから見たらこの家の子供みたいだ。



昔からこの家にはよく来てたからね…。



「そういえば風里、前デートしてた女の子ってどうなった? 付き合ったか?」



食べながら、ふと思い出したように悠麗くんが聞いた。



俺は食べてたロールキャベツを軽く吹き出す。



「きたねえな」

「ごめん」

「何動揺してんだよ」



ほんとになんで動揺してんだろう…。



悠麗くんの『好きな女と付き合え』という言葉によって付き合うに至らなかった先輩。



俺はあれ以来思わせぶりにならないよう気を付けてるつもりなのに、どうしても小糸ちゃんにそんな態度を取っちゃう。



「付き合ってないよ…」

「振られたか」

「うーん…俺が振った」

「罪深い男だな…」

「悠麗くんの言葉に従ったまでだよ…」
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