好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
えっ…。



何それ…。



困るんですけど…。



≪ふ、風里先輩…?≫



下にさげたスマホから小糸ちゃんの声が聞こえる。



俺は慌ててカメラを上げた。



≪今のって…≫

「うーん…」



綾乃は、俺と小糸ちゃんのやり取りを見てる。



「もしかして彼女と通話中…?」



綾乃が言った。



「まあ…」

「あっ、そっか…。ごめんね? やっぱりもう行っていいよ…。あたしがいるとややこしくなるでしょ…?」

「うん…。ごめん…。行くね、俺…」

「うん、久しぶりに会えてうれしかった…」



あああ…。



元カノとの会話、小糸ちゃんに聞かれるの、気まずすぎる…。



綾乃から離れて部屋から出た俺は、画面の小糸ちゃんの顔を見る。



すごく不安そうな顔…。



≪ど、どういう知り合い…ですか?≫



やっぱ正直に言った方がいいか…。



隠してたら俺と小糸ちゃんの信頼関係に傷がつきそうだ…。



そっと医務室から離れた俺。



画面の小糸ちゃんを見る。



「えーっとね…。実は…中学のときの元カノでした…」

≪元カノ…≫

「たまたま宿泊先のホテルで会って、会った瞬間に熱で倒れて…」



小糸ちゃんは明らかに落ち込んだ顔。



こんな顔、小糸ちゃんにさせたくないのに…。
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