好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
そして次の日、ホテルから出ると外で綾乃が待っていた。



「風里…。昨日はごめんね、ありがとう」

「うん、もう平気になった?」

「うん、ありがとう。あのさ…」



綾乃が言うかどうか迷った顔で俺のことを見る。



「あたし…昨日久しぶりに風里に会って、風里とのこと…色々思い出しちゃった」

「…」

「風里に新しい彼女がいることも分かったけど…。あたしにとって風里ってすごく特別な存在だったから。また会えてうれしかった」



なんて返せばいいんだろう…。



俺はどうしたらいいか分からなくて、曖昧な顔をした。



「こんなこと言われても困るよね。風里のことこれ以上困らせたくないって思ってるよ。だけど、どうしても今日は挨拶がしたかったの…」

「そっか…。俺も久しぶりに会えてすごい驚いたよ。綾乃がすごい大人になってたのもびっくりした。俺は今の彼女のこと、すごく大事にしてるからもうこれ以上は綾乃と話すことはないけど…。ありがとね、わざわざ来てくれて」

「うん…。ありがとう。またね…」



『またね』はないけど…。



綾乃の気持ちは受け止めました…。



小糸ちゃんに心配かけたくないからこれ以上はもう話さないけど。



綾乃に軽く手を振って綾乃と別れた。



綾乃と話して、もっと小糸ちゃんと会いたくなった。



修学旅行が終わったらすぐに会いに行こう。



待っててね、小糸ちゃん。
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