好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

穂高先輩

~小糸~

風里先輩が、修学旅行から帰ってきたその足であたしに会いに来てくれた。



バイトしてたら急に大荷物を持った先輩が現れて。



びっくりしてたら、「何時に終わる?」って笑顔で言うの…。



先輩が修学旅行先で元カノと会って、さらには看病までしたって聞いたから、あたしは猛烈に嫌な気持ちになったし、不安にもなった。



だって3つも年上のお姉さんと付き合ってたなんて…。



あたしって全然勝ち目ないんじゃないかな? とか、先輩とはまだ付き合ったばかりだから長く付き合ってた元カノと久しぶりに会って気持ちがそっちに行っちゃうんじゃないかな? とか。



だけどこうやって、疲れてるはずなのに来てくれるからやっぱりあたしは嬉しくて。



嫌な気持ちが吹っ飛んじゃうよ。



「あと30分くらいです」

「じゃあその辺で待ってるね」



それからの時間は早くバイトが終わることだけを考えていた。



一緒に入ってた亜子さんには『修学旅行から帰った足で来るなんて愛だね~』なんて冷やかされたりして。



照れるけど嬉しいです。



やっとバイトが終わって、先輩の待つカフェに向かった。



「先輩、お待たせしました!」

「おつかれ~」



先輩があたしに手をひらひらと振る。



あたしは先輩の目の前の席に座った。



「はい、これ、お土産だよ」



先輩がそう言ってあたしに紙袋を渡した。



「ありがとうございます! 開けていいですか?」



先輩がにっこり笑った。



中に入ってたのは、老舗の化粧品屋さんのコスメセットと、金平糖がたくさん入った大きい和柄の箱。



コスメセットにはハンドクリームとミラーとハンカチとコーム。金平糖は本当に食べきれなさそうなくらいの量。



めっちゃたくさん…。
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